三尖相照は中国武術にとって大切な伝統の教えのひとつだが、
その本質はあまり語られていないように思う。
打撃する瞬間は、大地と拳先は直結する。
そのために、必ず取らないといけない姿勢の掟なのだが。
では、説明してみよう。
三尖とは、鼻先、拳先、つま先を意味している。
拳を相手の顔面に打ち込んだ時の姿勢を見て欲しい。
(写真1を参照)
正面から見て、鼻先、拳先、前つま先が一直線上にある。
そして、この直線上に後踵が含まれることに注目してほしい。
この4点が、同一面上にあることが、力学的に大切である。
力が分散されることなく、拳先と大地が直結する姿勢である。
初学時には、「板になれ」と習ったものである。
板とは、この4点を含む面のことである。
インストラクターはこの力学的概念を理解していないと、
正しい姿勢を教えることはできないので、覚えて欲しい。
物体を打つときには、作用にたいして反作用がある。
反作用を跳ね返すのが、大地の力である。
大地の力を借りる理論は、蹴り技にも共通している。
写真2は、蹬脚で相手の膀胱に蹴りを入れた瞬間である。
果たして、右踵と大地が直結していると見えるだろか?