太極拳の内勁とはなにか?
伝統の内勁(ないけい)を学ぶことから、太極拳を始めよう。
勁(けい) は意によって、丹田、すなわち身体の重心で生まれる。
深層筋が仙骨と腰背を動かし、軸の力として全身に伝わっていく。
勁を発生させるエンジンと勁の伝達システムを内勁と呼ぶ。
太極拳は、纏絲勁(てんしけい)を使い、全身を連動させる。
勁とは、全身がつながった力であり、部分的筋肉の力とは区別する。
獣は全身の力で獲物を射止める。武術の動きもまた同じである。
武術の鍛錬とは、この勁を獲得して練ることに他ならない。
この本来の動きが、太極拳からなくなりつつある。
太極拳の目的が武術鍛錬からスポーツ演舞と健康体操に変化してきている。
健康体操の24式太極拳は楊式太極拳の古式をそのまま継承している。
これを、内勁を用いないで、形だけを真似るのではもったいない。
本物の内勁の動きは、なめらかで洗練されており優雅だ。
動きの中に静けさがあり、静けさの中に勢いが感じられる。
このスローな全身運動が、健康に素晴らしい効果を発揮する。
今ほど、太極拳の伝統回帰が求められている時代はない。