太極拳の虚実分明とは

 

無気力で芯のないような、意識が曖昧な太極拳を時折見かける。
放鬆ができており、全身の力が抜けたゆるやかな動きで、見た目は美しく整っている。しかし、どこか違和感がある。

なぜか。

それは、エネルギーが身体の中を通って外へ伝わっていく「流れ」が感じられないからである。
本来、太極拳では丹田から手へ、そして空間へと力が抜けながらも伝わっていく。また同時に、丹田から足へと力が伝わり、大地を踏みしめる感覚がある。

このような内側の働きが感じられない動きは、静かではあるが躍動感に欠ける。
極端に言えば、まるで命のないものが動いているように見えてしまう。

気が外に広がらず内に閉じこもり、意識もまた体内に留まってしまっている。
空間とつながる感覚、一体感がないため、外とのやり取りが生まれていないのである。

こうした傾向は、初心者だけでなく、時に指導者クラスにも見られる。

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太極拳の理論 外三合 力の調和

太極拳 雲手 外三合 三節 揺動支点 力の調和
太極拳の理論 外三合 三節

太極拳の動きは、各関節が揺動支点として働き、支点が順次移動することで、効率的な力の伝達を可能にします。外三合を意識することで、上半身と下半身が分離することなく、全身がシステムとして統一された力を生み出すことができます。

本ブログは2020年8月に書いた「太極拳の力学原理 勁は気ではない」と合わせて読んでいただくとより理解が深まります。

それでは、太極拳の柔らかで流れるような動きで、なぜ鋼の力が生み出せるのか秘密に迫りたいと思います。

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太極拳の歩法、着地はつま先か踵か?

太極拳の歩法

現代太極拳を見ると、スポーツ的な動きになっており、競技用の早い太極拳は肩を振ることにより動いている。胴体が棒か丸太のように一体で動いている。

そこには、丹田を起点とした背骨の伸縮としなりがない。

太極拳は内家拳であるが、現代太極拳にはその特徴が見られない。

また、歩幅が広く低い姿勢をとる場合が多く、足の筋肉で重心をゆっくりと移動させている。

足が重たく、太腿の筋肉を使い、重たい胴体を上に乗せているイメージとなる。

これでは、敵と戦うことはできない。

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引進落空(いんしんらっくう)

太極拳の動作には、言葉だけが一人歩きして、内容が理解されているか、はなはだ疑問に思うものが少なくない。「引進落空」はその代表格ではないだろうか。

「引進落空」は太極拳の本場中国でも抽象的な論議だけに終わっているように思える。

これは太極拳の伝承者が圧倒的に少ないことに起因しているのかも知れない。

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太極拳の「先の先」

 

太極拳 虛領頂勁 虚霊頂勁 虚领顶劲 虚灵顶劲
Taijiquan Xulingdingjin
Top force with the neck empty

 

日本の武術には「先の先」「対の先」「後の先」といった意の世界の言葉がある。

中国武術である太極拳にも同様の教えがある。

「彼不動己不動,彼微動己先動」、これは武禹襄老師の言葉である。

「彼動かず、我動かず、彼に微動あらば、我先に動く」

 

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太極之呼吸 全集中常中

太極之呼吸 全集中常中  武術を極める呼吸法とは

 

「鬼滅の刃」の漫画、動画、映画が日本だけでなく、台湾、中国でもブームとなっている。

この物語では、それぞれの剣技の流派は「水の呼吸」、「炎の呼吸」、「風の呼吸」のように呼吸を名称としている。また、鬼殺隊の最高位の剣士は「柱」と呼ばれ、「全集中常中」の呼吸法を身につけていることが最低条件とされる。 武術を極めようとする者達にとって、呼吸の存在はいかなるものなのか。 達人の域に踏み入れし者達は、どのような呼吸法を会得されているのだろうか?

私なりに「全集中常中」の呼吸法を考察してみた。

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武術 正中線をとる

正中線
自然体

武術において「正中線をとる」とよく言われるが、どういった意味合いだろうか?

私の理解では、相手にやられると思わせる瞬間であり、

言い換えれば、こちらは、もらったと思える瞬間となる。

打撃系の武術では「先の先」と合わせて説明される場合もあるように思う。

 

私は、力学的な角度から説明ができるのではないかと考えている。

「正中線をとる」は、中国武術にはない表現だが、私の武術の経験から語ってみたい。

 

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