高探馬は、左手で相手を制しながら、右手で打ち下ろす。
一見、どんな武術にもありそうな、単純な技だ。
しかし、背骨のパワーの使い方において、差があるのではないだろか。
では説明しよう。
太極拳の高探馬は相手を左手で制しながら、溜を利用して打ち込む。
歩法を進めながら、右手を纏絲勁で上げていく。
この動作で、背骨が歪みエネルギーを溜め込んでいく。
(写真参照)
右手の中指が頂点に達した時に、手を反転させてもう一捻りする。
この時の動きが、中指先導から小天星(豆状骨)先導に切り替わる。
この小天星の動きにより、背骨の歪みがピークになる。
(写真参照)
この姿勢が、馬に跨った偵察兵が、太陽光を手で遮り、
敵を探索する動作に似ている。
探馬とは偵察兵のことで、小天星の動きから高探馬と名付けられている。
背骨のパワーのリリースには、時間の遅れが生じる。これが溜となる。
放たれた縦掌は、相手の顔面に鞭のように飛んでいく。
(写真を参照)
相手が後退すれば、歩法を進めながら打つ。
型の練習は、楊式では虚歩を、陳式では弓歩をとる。
歩法は実戦においては、自由に変化するものである。
同じ顔面への縦掌攻撃でも、単鞭と高探馬では威力が異なる。
溜の時間が長い高探馬は、受けたくはない技である。
単鞭は左掌、高探馬が右掌で打つのも面白い。
太極拳の戦い方は、左右対照ではない。
相手の後方に壁があれば、そのまま相手の後頭部を壁にぶち当ててもよい。
変化技としては、足を掛け、そのまま相手の後頭部を地面に叩きつけてもよい。