テーマは中丹田だ。
一般的に言われている丹田とは、臍下三寸に位置する下丹田である。
ここは、エネルギーの中心であり、身体の重心でもある。
動作の起点を、ここに置くと、省エネで安定した動きができる。
下丹田は「丹田」として非常に有名である。
しかし、中丹田の存在はあまり知られていないようだ。
今回は、武術の経験を踏まえて、中丹田について語りたいと思う。
武術では、よく下丹田を意識する。
それは、下丹田は內勁の起点で、気のフローの起点でもあるからだ。
しかし、戦闘状態の「意」はここにあるわけではない。
意は中丹田にある。いわゆる、壇中と呼ばれる胸の中心に位置する。
もう少し具体的に言うと、手足は中丹田から生えているイメージで戦っている。
この意がないと、プロのボクサーのパンチはかわせない。
また、予備動作なしに、早いパンチを打つことはできない。
意を中丹田に置くので、気の一定量が下丹田から引き上げられている。
半分、蓄勁している状態で、間合いのスタンスを取っている。
気の99%以上は下丹田にあり重心は数ミリ上がる程度で安定している。
足は、軽く硬く無極を踏んでいる。
この状態を三つの丹田から、説明してみよう。
ミサイルを発射する戦闘マシンに例えると、
動力は下丹田にあり、
照準は上丹田にあり、
スイッチが中丹田にある。
「意」とはスイッチである。
弓道で矢を射る瞬間かもしれない。
「意」のあるところ、必ず「気」が存在している。
「意」「気」は無形であり、どうしても説明が抽象的になってしまう。
経験がなければ、意味不明の荒唐無稽な話と思われても仕方がない。
でも、納得して頷いている人が、一定量おられることを信じたい。